価値ある情報が理解できる自分を形成するために体験が最も重要です

少し前のテレビ番組なのですが、北欧家具で有名な「ウェグナー」や「フィンユール」の椅子が出ていたと、SiNQのメンバーのグループLINEで話題になりました。メインで登場したのはデンマークを代表する家具デザイナー「ハンス・J・ウェグナー」で、彼は生涯で500種類以上の椅子をデザインしてきました。数多くのデザインの中でも、代表的なものと言えるのが「ザ・チェア」です。こちらは1960年のアメリカ大統領選にて、テレビ討論会でジョン・F・ケネディ座ったことがきっかけで世界的に注目される椅子となりました。腰痛もちであった元アメリカ大統領 ケネディが、背中が楽にサポートされ心地よい座り心地に関心し、また自身が最も美しく見えることから、「これぞ椅子の中の椅子、特別な椅子」という意味で「The chair!」と呼んだことから世界中から注目を集め70年以上たつ現在でも多くの人々を魅了し続けています。

この「ザ・チェア」、当時の工房であるヨハネスハンセン社のヴィンテージがSiNQサロンに展示されているのですが、研修会に参加される皆さんが写真を撮影したり、実際にこの椅子に座り、その素晴らしさを体験されています。実際に目にして座りながら説明を受けるという体験をされていたからこそ、何気なくテレビに出てきた「ザ・チェア」にも目を止めることができたのではないでしょうか。椅子に興味関心を持つ方は少ないため、知らなければその番組もさらっと見るだけで記憶にも残らなかったかもしれません。つまり体験がいかに重要であるかということを表しています。どんなに価値ある情報が流れていたとしても、その価値をきちんと理解していなければ、そのまま素通りしてしまうということです。

またサロン研修会では様々なジャンルの話をさせていただいていますが、プレゼンテーションの中に聞きなれない金融機関名が登場するのですが、参加されたかは覚えておられるでしょうか？

その金融機関はＵＢＳです。

スイスを拠点とし富裕層をターゲットにプライベートバンクサービスを提供する世界屈指の金融機関で、日本でも三井住友信託銀行と提携してサービスを提供しており、2億円程度の預入額から口座開設できることをお話しましたが、サロン研修会に参加される方は誰もこの名前すら知りませんでした。そのためプレゼンテーションで話をしたことも記憶に残っている人は少ないかもしれません。

今回クレディスイスという同様のサービスを世界展開する金融機関が、過去の財務報告書に重大な問題があったことと、シリコンバレー銀行の破綻などの影響により信用不安に陥ったことで、スイス政府が国有化を検討していた中、ＵＢＳが買収することで合意されたというニュースが注目を集めています。クレディスイスはこれまで発行したおよそ2兆円相当のAT1債を無価値化すると発表したため、社債の資産価値がゼロになり、世界中の富裕層の投資家は大損することになりました。

またプレゼンテーションの流れでスイスの隣にある、リヒテンシュタイン王国が運営するＬＧＴという金融機関の話にも触れていますが、日本で細々と運営してきたところ一転今から2年前に、クレディスイスの永倉さん率いるシニアプライベートバンカー20人が、水面下でＬＧＴへ大移動し虎ノ門で、LGTウェルスマネジメント信託株式会社を立ち上げたことが話題になりました。このようにまとまった人数のスタッフが移動するのには水面下で何かあったのだろうと思っていたのですが、おそらくこれはクレディスイスの一部スタッフはこうなることを予見しており、別の金融機関からヘッドハンティングを受けて大量離脱していたのでしょう。

このようなニュースも一度でもそのキーワードを聞いていなければ、そのままスルーしてしまっていたのではないでしょうか。様々なジャンルに興味を持ち記憶にとどめておくことで、世界で起きているもしくは起こってきた事に対して気づきを得られることに繋がります。クレディスイスのように世界的な金融機関ですら破綻するリスクがあるわけです。皆さんの耳に入ってくるような投資話がいかにリスクが高いかということはこのようなニュースから客観的に判断することができるのではないでしょうか。

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