読書記録「蝉しぐれ」藤沢周平
藤沢周平の文章はどうしてこうもリズムが良く、読みやすいのだろう。おそらくだが、風景の描写一つとっても、過不足がない、つまり必要な出来事をできるだけ少ない字数で書いているからだろうと思います。ダラダラと饒舌なだけとか、蘊蓄だらけとか、必要のない文章がないのです。必要十分なだけ、それでいて芳醇な香りがするのは、言葉の選び方が素晴らしいのでしょう。
この物語は、時代小説でもあり青春小説でもあり恋愛小説でもあります。時代小説だから道場での試合、クライマックスの斬り合いなど血生臭い場面も出てきます。でも、この作者は技の描写が上手いんですよね。これは秘剣シリーズや〇〇人名シリーズでも思ってました。
ただこの物語は、それと同時に最終恋愛小説でもあります。互いに思い合っていた幼馴染との別れ、運命の流転、そして再会。再会した時には、2人は2度と結ばれぬ運命となっていますが、それが人生と言うもの。
「この世に悔いの残らぬ人などおりましょうか?」
胸に刺さりました。けれど、それを受け入れ、自分の人生を精一杯歩むことが人の務めと思わされます。
周平未読、時代小説未読の方は是非どうぞ。
コメント
コメント ( 7 )
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本好きですが、時代小説だけは
読めずにいました
でもPicasukeさんの投稿をみて
読んでみたくなりました!
ありがとうございます♪
美登里さん。
ぜひぜひ手に取ってみてください。
藤沢周平、池波正太郎、山本周五郎、平岩弓枝などはもちろん、最近では宮部みゆき、畠中恵、葉室麟などが人気です。
Picasukeさん
いつもながら柔らかなタッチで、読書の楽しさを教えていただきありがとうございます。
文学部に学びながら、読書のあまり好きでなかった私にとっては、心豊かな文章を書く力は、
読書にあることを感じています。
積田辰也さん
文学部ご出身なんですね
そんな方に、こんな駄文を褒めていただけるだけで光栄です。
本はもうずっと読めてません。あと数年したら、きっと・・・。
Pivasukeさんへ
読んでいないこれだけかけてしまうのですか?
ノーみそコンピューターに入力されているのですか。
文章が書けるって、とてもすばらしいことだと思います。
文学部卒業後、中学校の国語教師。
作文の嫌いな子供たちがいっぱい。
学校では、作文が嫌いになる授業が長い間続けられている現実を見ました。
反発して、小さな学校から脱して全国の先生や学者さんたちの中に飛び込んでみました。
世界の広さに驚きました。
作文が楽しくなるきっかけを与えてくれたのは、東大の科学関係の博士でした。
それからは楽しく過ごしていました。
この人たち(子供達)が、文章を自由に書ける環境と心を持てるかと、試行錯誤していた頃を思い出します。
今であったら、「読書記録」を毎日声を出しながらみんなで読んでいたと思います。
楽しいだろうなと思います。
ありがとうございます。
独特の世界ですが
私は好きですよ!
たくさんのいいねありがとうございました♪
山田純さん
こちらこそ、いつもありがとうございます。
藤沢周平作品は、いつも余韻があって、それが苦くても爽やかでも哀しくても、読書の醍醐味を味わわせてくれるので、やめられません^_^