終戦の日
日記

終戦の日

予めお断りしておきますが
以下は完全に私個人の思いです。
誰かや、何かを批判したり、蔑んだりするものではありませんし、戦争を賛美するものでもありません。
内容に誤りがあるかもしれませんご容赦ください。

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今日は、八月十五日終戦の日です。

知っておいて頂きたいお話しを少しでも、終戦の日にPOSTさせて頂いています。

昨年は、まだ十代の特攻隊員の話をPOSTさせて頂いていました。

今年は、若い特攻隊員がその婚約者に宛てた手紙を紹介させて頂きたいと思います。

ちょっと長い文章ですが、宜しければ最後まで読んでくだれば嬉しいです。

少しだけ前書きを……

所属する隊の隊長から特別休暇をもらって帰郷した穴澤大尉は、両親を説得します。
そしてようやく婚約者( 孫田 智恵子さん )との結婚の許可を得たそうです。
その夜、穴澤大尉は親類の方のお宅に泊まられたのですが、その未明東京大空襲が起こります。

お二人はお互いの安否を確かめる為に夜明けと共にお互いのもとに走りました。
そしてお二人は、大島神社のあたりで、バッタリと出会います。
互いが無事である事を確認できたお二人は、所属する隊に帰る穴澤大尉を送って、二人で国電に乗りこみます。
ところが電車は、空襲の後で避難する人々で溢れかえり、あまりの混雑の息苦しさに、智恵子さんは池袋駅で電車を降りてしまわれたそうです。
そして、これが二人の最後の別れとなりました。

その1ヶ月後、智恵子さんのもとに届いた手紙が以下の手紙です。

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大日本帝国陸軍 穴澤 利夫大尉
(出撃時は 少尉 没後 二階級特進で 大尉)

二人で力を合わせて努めて来たが終に実を結ばずに終わった。

希望も持ちながらも心の一隅であんなにも恐れていた“時期を失する”ということが実現して了ったのである。

去月十日、楽しみの日を胸に描きながら池袋の駅で別れたが、帰隊直後、我が隊を直接取り巻く情況は急転した。

発信は当分禁止された。

転々と処を変えつつ多忙の毎日を送った。
そして今、晴れの出撃の日を迎えたのである。

便りを書きたい、書くことはうんとある。

然しそのどれもが今迄のあなたの厚情に御礼を言う言葉以外の何物でもないことを知る。
あなたの御両親様、兄様、姉様、妹様、弟様、みんないい人でした。

至らぬ自分にかけて下さった御親切、全く月並の御礼の言葉では済み切れぬけれど「ありがとうございました」と最後の純一なる心底から言っておきます。

今は徒に過去に於ける長い交際のあとをたどりたくない。

問題は今後にあるのだから。

常に正しい判断をあなたの頭脳は与えて進ませてくれることと信ずる。

然しそれとは別個に、婚約をしてあった男性として、散ってゆく男子として、女性であるあなたに少し言って往きたい。

「あなたの幸を希う以外に何物もない。

「徒に過去の小義に拘るなかれ。あなたは過去に生きるのではない。

「勇気をもって過去を忘れ、将来に新活面を見出すこと。

あなたは今後の一時々々の現実の中に生きるのだ。

穴沢は現実の世界にはもう存在しない。

極めて抽象的に流れたかも知れぬが、将来生起する具体的な場面々々に活かしてくれる様、自分勝手な一方的な言葉ではないつもりである。

純客観的な立場に立って言うのである。
当地は既に桜も散り果てた。
大好きな嫩葉の候が此処へは直に訪れることだろう。

今更何を言うかと自分でも考えるが、
ちょっぴり欲を言って見たい。

1、読みたい本
「万葉」「句集」「道程」「一点鐘」「故郷」

2、観たい画
ラファエル「聖母子像」、芳崖「悲母観音」

3、智恵子。
会いたい、話したい、無性に。

今後は明るく朗らかに。 自分も負けずに朗らかに笑って往く。

昭20・4・12
智恵子様

利夫

~~~~~~~~~~~~~

これが、穴沢利夫さんの最後の手紙となりました。 手紙の書かれた日付と、利夫さんの戦死の日付は、同じです。
おそらく、出撃の直前に、書かれたのではないかと思われます。

実は、穴澤大尉は、女性物のマフラーを巻いて出撃されておられます。

このマフラーは、智恵子さんが、利夫さんとの面会の折に、「いつも一緒にいたい」との想いから、自分の巻いておられた薄紫色のマフラーを手渡されました。
穴澤大尉は、その智恵子さんの女物のマフラーを首に巻いて出撃されました。
その様子が、出撃前に撮影された写真に残っています(左下)。
マフラーが首に二重に巻かれているので、他他の隊員よりもマフラーが膨らんでいるのがわかります。

右下:出撃の様子の写真
一式戦(隼)に搭乗し見送りの方々に敬礼されている穴澤大尉

本やコミックにもなっています機会がありましたら手に取ってみてください。

・「知覧からの手紙」新潮文庫

・「ラブレター」瀬尾公治短編集~ (講談社コミックス)

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投稿者

永冨弘康
永冨弘康

佐賀県

コメント

  • コメント ( 8 )

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  1. フォローバックありがとございます。
     今、私たちの生活は先人の大切な人生の犠牲の上に成り立っている。その事を、考えさせられました。

  2. フォローありがとうございます
    知覧に行ったのは4〜5年前だったかと思います
    その時の気持ち、改めて思い出します

    これからもよろしくお願いします

  3. 読ませていただきました。
    戦争は二度と起こって欲しくないです。
    投稿、ありがとうございます。_(._.)_

  4. 投稿、ありがとうございます。
    私も、幾度か知覧に伺いました。
    思いをよせると、
    言葉がありません…
    忘れてはならない大切な記録です。
    感謝と合掌

  5. 以前、知覧の特攻隊記念館に行った時の手紙の数々を改めて思い出します。
    また、子供の頃祖父母から戦争の体験談(戦時中の話や満州から命からがら引き揚げてきた時の話…)を何度も聞かされた時の事。
    父が何故戦争の話しを避けていたのかが亡くなった後、日記にシベリアに捕虜として抑留されていた時の辛い体験が、書かれていて絶体に戦争はしてはいけないと❗️
    終戦記念日の度思い出します。
    私達は戦争経験がないけれど、戦争で亡くなった方々の思いを繋いでいかなくてはならないと、改めて思いました。

  6. 胸が痛くなるようなお話しでした

    今に感謝です
    有難うございます。

  7. 慟哭‼️
    私は、幾多巡りくる終戦の日の8月15日を
    平常心でむかえることは出来ない‼️
    国の為に命をかけ散って逝った方々を想うと
    胸が張り裂けそうになるのです‼️
    この方々の犠牲の上に今の平和がある、
    そして、心から、心から哀悼と感謝の意を捧げずにはいられない私です‼️
    愛する者とのわかれ、行く者も、見送る者も断腸の想い、それは、想像を絶するものがあります‼️
    海の底に浮かばれない魂が、草葉の陰に浮かばれない魂が未だ沢山あり、それらの魂が呼びかけてくるので、御霊昇げをさせて頂いたりも
    しています。
    戦争は、残酷です‼️‼️
    地球上に戦争のない平和なひびはいつくるのだろうか‼️
    長富さん投稿有難うございました‼️

  8. 永富さん、思いをいただきました。
    知覧を訪問した時にも同じ気持ちになりました。
    英霊達の命懸けがあったからこそ
    私達がいるのです。
    感謝とやるせなさでいっぱいです

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