バリ日記⑤ ジェゴク
初めて見たときは、けっこう驚いたなぁ。
音の格闘技!?
楽器という名の武器?!
そんなイメージでした。
25年ほど前のこと。バリの中心部から西へ、ひたすら田園風景をチャーターバスに揺られて5時間くらい。
ヌガラという町に着くと、案内された寺院の広場に、戦闘モード感満載の竹楽器がズラリ10数台。ホント、どこかの部族の戦いの準備かと思ってしまうほど緊張感も溢れていた。
事実、説明によると、ジェゴクは巨大な竹筒を組み合わせた大小6種類14台の打楽器によるガムラン音楽だけど、近くの村とは演奏による戦いもあるらしい。
演奏が盛り上がろうとする頃、まさしく音の横ヤリを別のグループが突き刺すように入れる。
そうして互いの音が大きなうねりを生み、4音階のジェゴクという重低音が得意のバカデカい打楽器が、ズシーンと大砲の如く空気を震わせて、観る者のカラダの芯まで不思議な音色を響かせる。
大きいものだと太さ20センチくらい、長さは4メートルのものもあるという。
当然、デカすぎてこの打楽器を1人で叩くのは無理。楽器に乗り、ふたりがかりで、2キロもあるハンマーのようなバチを両手で握りしめて叩く。
ボクも叩かせてもらったけど、これは演奏というより、土方仕事って感じ。
楽器の下に潜ってカラダの中で音を体験することもできた。この響きはちょっと不思議。今まで経験したことがない、音が沸き上がってくる感覚かな!?
グランドピアノで実験したけど、こんな感じにはならなかった。
ジェゴク発祥の地・ヌガラで、満月の夜にもう一度、あのダイナミックな音を聴きたいものだ。
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