★バリ日記④ コピ・ルアク
10年程前のこと。訳も分からず、友だちのワヤンくんに勧められるままに飲んだ、未知なるコーヒーの不思議な味。
インドネシア語のコーヒはコピといって、その言葉の響きは子猫につけたいくらい愛らしい。
ルアクはジャコウネコのことだという。
当然、ボクは「ネコとコーヒー?」となり、ワヤンくんに疑問をブツけた
「ジャングルの、野生の、ジャコウネコの、ウンチよ。消化してないコーヒー豆よ」と、彼はゴツゴツした日本語で力説する。
で、泊まっていたホテル近くのコーヒーが評判のレストランへ向かった。
やってきたコピ・ルアク。なんとも、まぁ、ちいちゃいカップに。それほどプレミアムなシロモノなのかもしれないけど、「これで2千円?」と、ボクは小さく吠えた。
ひと口含んで今度は、大きく吠えた。
「ナニ、コレ?」。
ふんわり、ふくよかな甘味が瞬く間にお口に広がり、あとから酸味がじわじわっと包み込んでくる幸福感。やわらかい甘さに飾らない酸っぱさが手を繋ぐ感じ、といって互いに主張しすぎることもなく、響き合う旨味から生まれる余韻には感動しかない。
ボクはすっかりトリコになってしまった。
年間収穫量は300キロ程度だそうで、まぁね、ジャングルの、野生の、ジャコウネコだもんね。
お高いのは仕方ないか。
帰国する際、ワヤンくんは、なんとコピ・ルアクを1キロほどお土産にくれた。
「えぇぇーーっ!!」
聞けば、友だちがジャコウネコを捕まえてきて、エサにコピを与え、そのウンチから取り出したものだという。
宮崎に帰ってさっそく妻と、期待を目一杯膨らませて…。
でもね。
「んんんー?まずっ。ただのウンチじゃん」てな結末でした。
全部捨てました。ワヤンくんに報告すると、かわいそうに、そのジャコウネコはお亡くなりになったそうで、人間の欲の犠牲になってしまったよね。もらったボクも目を輝かせていたからね…。
もうひとつ空港で手に入れた写真のコピ・ルアクも、「あの味」には、遠く及ばず。
ホンモノはスゴイ!!
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